すべては患者さんの笑顔のために ~京都大学消化管外科~
京都大学医学部附属病院 消化管外科 
TEL:075-751-3111(病院代表)

大腸がん

大腸は、盲腸から続いて上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸と続き、直腸から肛門へと至る、全長約2mの臓器です。

京都大学消化管外科の結腸がん治療の特色

対象とする疾患

  • 早期がんから転移を有する進行がんまで積極的な治療をおこなっています。
  • 進行度に応じて、できるだけ早く治療開始ができるよう心掛けておりますので、京都大学で治療を希望される場合はかかりつけの先生にいつでもご相談ください。
  • 消化管やお腹の中にできるがん以外の悪性腫瘍(GIST、神経内分泌腫瘍、悪性黒色腫、肉腫など)や良性腫瘍(神経鞘腫や平滑筋腫など)なども取り扱っておりますので、外来でご相談ください。

治療の特色

  • 1日でも早く日常生活に戻れるよう、傷が小さく・体に負担の少ないロボット支援手術や腹腔鏡手術を第一選択としています。
  • 大腸がん治療のエキスパート、技術認定医の資格を持った医師が複数在籍しており、特に癌に対する腹腔鏡・ロボット支援手術では必ず資格を持った医師が手術チームに入ることで、合併症が少なく・根治性の高い手術を行っています。
  • 転移(腹膜播種も含む)を有する進行がんや再発がんであっても、大腸がんの専門家(腫瘍内科・消化器内科・肝胆膵外科・放射線治療科)で結成される大腸がんユニットで治療方法を検討し、患者さん個々に最適な治療を提案していきます。
  • わかりやすい説明を心がけ、医師や看護師が入院中の生活をサポートします。ご高齢の方など退院後の生活に不安のある方は、地域ネットワークと協力して、自宅近くの病院との連携や在宅医療サービスの活用を提案して退院支援を行っています。

腹腔鏡手術について

  • 腹腔鏡手術とは:
    • おなかの数カ所に直径5~12mmの孔をあけて、お腹を炭酸ガスでふくらませて、腹腔鏡の高画質映像(3Dや4Kなど)を見ながら行う手術のことです。
  • 腹腔鏡手術の利点:
    • 従来の開腹手術と比べて、傷が小さく痛みが少ない、出血が少ない、腸の動きの回復が早いなどのメリットがあります。早ければ当日から歩くことが可能です。
  • 手術について:
    • 腹腔鏡手術は一般的に難しい手術と言われていますが、当科では、腹腔鏡手術を第一選択としており、手術経験の豊富な医師(技術認定医など)が手術を担当しています。

腹腔鏡のポート写真

ロボット支援手術について

  • ロボット支援下手術とは:
    • 上述の腹腔鏡手術と同様に、おなかの数カ所に直径5~12mmの孔をあけて、お腹を炭酸ガスでふくらませて、手術用の3Dビデオカメラの高画質映像を見ながら行う手術を行いますが、手術支援ロボットを連結して、外科医がロボットを操作しながら手術をおこないます。
    • ロボット手術の利点としては手術器具先端に手首のような関節機能があり、自由度が高く繊細な手術操作が可能なことです。それにより術者が思った通りの精確な動きができるため、結腸がんの手術においてより精度の高い手術ができる可能性があると考えられています。
  • 安全性について
    • 日本内視鏡外科学会に認定されたロボット手術指導医(プロクター)が複数人在籍し、術者、助手、手術看護師も含めロボット手術に熟達したスタッフが担当しています。

根治性の高い手術

  • がんの切除について:
    がん細胞は腫瘍近くのリンパ節に転移しやすいため、手術で切除する必要があります。
    腫瘍を含む腸管と栄養する血管・周囲のリンパ節を切除します。
  • 吻合について:
    切除した後は残った腸管の端同士をつなぎあわせ便の通り道を作ります(吻合と言います)。
    通常、おへその傷から吻合することが多いですが、最近ではお腹の中で吻合する方法(体腔内吻合)も取り入れており、傷をできるだけ小さくし、手術時間を短縮するなどのメリットがあると考えています。

リンパ流の可視化について(特定臨床研究: jRCTs051180001)

がん細胞は腫瘍近くのリンパ節に転移しやすいですが、小さいリンパ節やリンパの流れは通常の腹腔鏡カメラを用いても確認することができません。

近年、点滴して肝臓の機能を調べるために使われるICG(インドシアニングリーン)を腫瘍の近くに注射して、近赤外線カメラで観察するとリンパ節やリンパ流を識別することが可能となってきました。

まだ、研究段階ではありますが、リンパ節を取り残さず根治性の高い切除ができると期待されております。

大腸がんユニットについて

大腸がんの専門家である、がん診療部(腫瘍内科・消化器内科)、肝胆膵外科、放射線治療科らの医師で結成されます。

毎週火曜日に、個々の患者さんの病態に応じて治療法方針を検討します。

近年、集学的治療(手術、放射線治療、抗がん剤などを組み合わせた治療)が、がんの予後を改善する事知られております。

(閉塞性大腸癌に対するステント留置後の術前化学療法の安全性・有効性に関する臨床試験

科学的根拠に基づいた、最適な治療方法を提案していきます。

がんゲノム医療について

標準治療が終了した局所進行がんや転移を有する患者さん、希少がんの患者さんに対して、がん細胞に起きている遺伝子の変化(がん遺伝子パネル検査)を調べます。

遺伝子解析によって、効果の期待できる治療方法(保険診療外治療も含む)を提案します。

 

外来では個々の患者さんの状態に合わせた、より具体的で詳しいご説明をいたします。