この記事の内容
京都大学消化管外科教室・関連施設では、内視鏡外科を中心に質が高い手術ができ、
患者さんに寄り添う外科医の育成に注力するとともに、各医師の特性を活かした多様な働き方を尊重しています。
京都大学消化管外科では、多くの「大学医局」のイメージと異なり、
京都大学の「自由」の学風に基づき、キャリアプランを自身の興味から選ぶことができます。
教室・関連施設における多様な人材による多様な働き方をご紹介します。
私はがん個別化医療開発講座という産学連携講座と兼任で消化管外科教室に所属しています。
臨床では内視鏡外科医として研鑽を積むと同時に、産学連携講座では患者由来癌細胞3次元培養法を用いた研究を社会に還元することを目指しています。
基礎から臨床への橋渡しになる研究のため、多様な専門分野の先生方が周囲にいることがとても重要で、議論しながら計画を進めることができ、自分の成長にもつながっていると感じています。
標準治療を否定する言説、科学的根拠のない民間療法などに傾倒し、目の前から去っていったがん患者さんたちを見て感じたことがあります。
私たち外科医がどれほど腕と知識を磨いても、病院に来ない患者さんを救うことはできない–––。
こうした思いから私は、病院の中だけでなく、病院の「外」での活動、すなわち医療情報サイトやSNSでの発信、書籍出版、ボランティア講演などを通して、同じ志を持つ仲間と共に一般向けに情報提供を続けています。
教室の先輩や同僚には、医師として特異な活動を行う私を寛容に受け入れていただいています。
私は医療安全管理と兼任し、術後QOLといった臨床疫学研究や術後の身体機能の維持といった臨床代謝栄養(NST)といった分野にも興味を持って注力しています。
手術だけでなく多角的、重層的にアプローチすることで、患者さんに提供する医療の質を向上させたいと思っています。そうした活動に手術や病棟を抜けることにはチーム医療で対応してもらっています。
外科医の育休取得に関しては、出産する夫婦だけでなく、その両親のサポートや、ほかに子供が何人いるかなど個々の状況でどれだけ休みが必要なのかが大きく異なると思います。
一方で、外科医として早く復帰したいという思いもあると思います。
私は3週間の育児休暇をいただきましたが、大学の雇用形態により定められた配偶者出産特別休暇や育児休業だけでなく、年休などを組み合わせる形にして私たち家族の意向に沿った休暇をいただきました。
一方で復帰直後からそれまでと変わらず経験を積むことができ、その年の症例で内視鏡外科技術認定医に合格することもできました。
個々の事情に対して理解していただき、先輩・後輩に関わらず各個人がとても協力的に支えていただけることがとてもありがたく感じています。
私も育児休暇を一か月半ほど取得しました。
このように京都大学消化管外科教室と関連施設では、多様な人材が安心して活き活きと働くことを目標に、環境の整備に努めているところです。
これからも、有意義な夏休みの過ごし方や勤務時間外の趣味なども紹介していきます。
さらに京都大学外科交流センターでは、 異動希望調査や 女性外科医の働き方を支援していますのでご参照ください。
また、京都大学病院では「キャリア支援診療医」として週30時間以内の勤務も可能です。
こうした取り組みを 第123回日本外科学会定期学術集会の特別展示企画で当大学肝胆膵・移植外科とともに紹介しましたので、ご参照ください。(参加者の投票の結果、最優秀賞に選出されました。)