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診療内容

胃がんの術前化学療法

癌が非常に大きい場合や、リンパ節転移が多数認められる場合、腹膜転移が認められる場合など、病期III-IVであることが判明した場合、手術では癌をすべて取り切れないか、取りきれても高率に再発をきたすことが予想されます。そこで、こうした方には手術前に抗がん剤治療を組み合わせることにより治療成績をあげようという試みを行っています。この治療方法は「術前化学療法」と呼ばれ、海外では進行胃がんに対する標準治療になっています。
日本では、病期IIIの場合はそのまま手術をおこなっても癌を取りきれる可能性があるため、手術を先行して術後に抗がん剤を組み合わせる治療法がいまだ標準的です。しかし、術後の抗がん剤治療は体力低下のために強力に行うことは難しく、われわれは手術前の抗がん剤治療のほうがより効果が上がるのではないかと考えて、多施設臨床試験を行いその治療効果を検討してきました(「StageIII胃癌に対する術前ティーエスワン+シスプラチン併用化学療法の第II相臨床試験」)。「術前化学療法」は日本では新しい治療法で、従来の治療成績を上回ることがまだ証明されたわけではありませんが、こうした考えに基づき、十分体力のあるかたには術前に治療効果の最も高い「ティーエスワン・シスプラチン併用療法」という抗がん剤治療をお勧めしています。
一方、病期IVの場合は、そのままでは癌を取りきれない状態であることがほとんどです。したがって、治療の中心は化学療法となります。ただし、病期IVでも転移の程度が軽い場合、化学療法によりがんが小さくなって、切除が可能になることがあります。病期IVの胃がんに対する化学療法後の手術成績のデータは、これまでほとんどありませんでしたが、京大病院が中心になって行った病期IVの胃がんに対する臨床試験により、病期IVであっても一部の患者さんには、抗がん剤の治療効果が得られたのちに手術を行うことによって、治療成績の向上が見込めることがわかってきています。
特に、腹膜転移は病期IVの原因の主なものですが、腹膜転移の範囲が限られていたり、細胞レベルの転移のみであるような軽い状態の場合には「ティーエスワン・シスプラチン併用療法」で転移の消失が期待できます。ただし、残念ながらこの効果は一時的で多くの場合、ふたたび再発してきます。そこで、私たちは、腹膜転移が判明した患者さんに対して、さらに強力で有望な治療法として、「ドセタキセル・ティーエスワン・シスプラチン3剤併用療法」による術前化学療法を臨床試験として行っています。(『腹膜転移を有する進行胃癌に対するティーエスワン+ドセタキセル+シスプラチン併用療法(DCS療法)による導入化学療法の臨床第Ⅱ相試験(KUGC06)』)


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